Googleマップに表示される医院の情報(Googleビジネスプロフィール)は、医院が書き込む部分と、患者さんが書く口コミの部分で、守る決まりが違います。 医院が書く名称・説明・写真・投稿には、Googleの掲載ガイドラインに加えて医療法の広告規制がかかります。口コミの部分には、Googleのクチコミのポリシーと、景品表示法のステルスマーケティング告示がかかります。

口コミについては、歯科医院に対する行政処分の実例があります。消費者庁は令和7年3月17日、星5の投稿を条件にギフトカードの提供や治療費の割引を伝えていた歯列矯正の診療所を経営する医療法人に、景品表示法に基づく措置命令を出しました。口コミを増やす工夫が、そのまま法令違反になりうるということです。

この記事では、Googleのヘルプに載っているガイドラインとポリシー、厚生労働省の医療広告等ガイドライン、消費者庁の公表資料にもとづいて、プロフィールの整え方と口コミで避けることを順に整理します。Googleの仕様やポリシーは変わることがあるため、作業の前にヘルプの最新の記述も確かめてください。

1. プロフィールは「医院が書く部分」と「患者さんが書く部分」に分けて考える

部分書く人かかる決まり
名称・住所・診療時間・カテゴリ医院(オーナー)Googleのビジネス情報のガイドライン
説明文・写真・投稿医院(オーナー)Googleのガイドライン、医療法の広告規制
口コミ(クチコミ)と星の評価患者さんなどGoogleのクチコミのポリシー、景品表示法(医院が関与した場合)
口コミへの返信医院(オーナー)Googleのポリシー、個人情報保護法

医療広告等ガイドラインは、広告の媒体として「インターネット上の広告等」を挙げ、患者の受診を誘引する意図があり、医院が特定でき、歯科医業に関する内容であれば広告に当たるとしています(第2の1、第2の4)。医院が自ら書き込む説明文や投稿、載せる写真は、ホームページと同じ基準で点検してください。禁止される表現の一覧は歯科の医療広告ガイドラインで整理しています。

2. 医院が書く部分の整え方

最初にオーナー確認を済ませる

Googleのヘルプでは、口コミに返信するにはビジネスのオーナー確認が必要とされています。オーナー確認をしていないと、診療時間の変更や誤った情報の修正も思うようにできません。院長の個人アカウントだけで管理していると、担当の交代や退職のときに引き継げなくなるため、医院として管理できる形にしておきます。

名称は看板どおりにする

Googleのビジネス情報のガイドラインは、名称について、実際に一貫して使い、看板などで認知されている名前を使うよう求めています。宣伝文句(キャッチフレーズ)、営業時間、電話番号、URLなどを名称に入れることは認められていません。「○○歯科医院 インプラント・矯正・痛くない治療」のように診療内容や宣伝文句を名称に足すと、Googleのガイドラインに反するうえ、「痛くない治療」のような表現は医療広告としても認められません(医療広告等ガイドラインに関するQ&A Q3-22)。

歯科医師個人のプロフィール

Googleのガイドラインでは、医師や歯科医師は「個人専門家」として、医院とは別に本人のプロフィールを持てます。条件は、対外的に専門業務を行う本人であること、オーナー確認された事業所で営業時間内に本人に直接連絡が取れることです。複数の専門家がいる医院では、医院のプロフィールとは別に、専門家のプロフィールには本人の名前だけを入れる形になります。専門家が1人だけの場合は、「医院名: 氏名」の形で1つにまとめることもできます。

勤務医が退職したあとに個人のプロフィールが残っていると、患者さんが誤って連絡する原因になります。退職時の手続きに入れておくと漏れません。

診療時間・休診日は他の媒体とそろえる

診療時間や休診日は、ホームページ、院内の掲示、医療情報ネット(ナビイ)と一致させます。医療情報ネットは、医療法第6条の3にもとづく医療機能情報提供制度の全国統一のシステムで、令和6年4月から運用されています。厚生労働省の医療機関向けページでは、診療所は原則として毎年1月1日から3月31日の間で都道府県が定める時期に定期報告を行い、基本情報に変更があったときは速やかに報告するとされています。Googleマップを直したときに、医療情報ネットの報告も直す手順にしておくと、食い違いを防げます。

説明文・写真・投稿の点検

医院が載せる説明文や写真には、次の点を当てはめます。

  • 「地域No.1」「最高」「日本有数」などの最上級・比較の表現を使っていない
  • 「痛くない」「必ず」「絶対」などの断定をしていない
  • 患者さんの感想や体験談を、医院の投稿として載せていない
  • 術前術後の写真を、治療内容・費用・主なリスクの説明なしに載せていない
  • 施設基準の加算を「国の認定」と書いていない(事例解説書 第6版は「届出済み」と書く例を示しています)
  • 期間限定の値引きなど、費用を強調する投稿をしていない
  • 写真は自院の建物・設備・スタッフのもので、他院の写真を使っていない

費用を強調した広告や、医療と直接関係の無い物品の贈呈を強調した広告は、医療広告等ガイドラインで「厳に慎むべき」とされています(第3-1の1(8))。

3. 口コミで避けること

患者さんが自ら書いた口コミは広告に当たらない

医療広告等ガイドラインに関するQ&Aは、第三者が運営する口コミサイトなどへの体験談の掲載は、医療機関が広告料などの便宜を図って掲載を依頼しているなどの誘引性が認められない場合は広告に当たらないとしています(Q2-11)。Googleマップの口コミに患者さんが自ら書いたものは、この考え方で扱われます。

一方で、その口コミを医院のホームページに転載すると、医院が載せる体験談として禁止の対象になります。 厚生労働省の事例解説書(第6版)は、口コミサイトからの転載を体験談の禁止事例として挙げています。「Googleの口コミ ★4.8」のように評価を強調してホームページに埋め込むことも、同じ理由で避けてください。

謝礼と引き換えの依頼はしない

Googleのクチコミのポリシーは、投稿や否定的な口コミの修正・削除と引き換えに、金銭、割引、無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供することを禁止しています。

景品表示法でも問題になります。令和5年10月1日から、事業者の表示であるのに一般消費者がそれを判別しにくい表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法第5条第3号にもとづく告示(令和5年内閣府告示第19号)で不当表示とされました。医院が内容の決定に関与した投稿は、患者さんのアカウントから書かれていても医院の表示と判断されることがあります。

医療機関に対する措置命令は、次のように公表されています。

日付対象認定された行為
令和6年6月6日内科の診療所を経営する医療法人インフルエンザワクチンの接種者に、Googleマップの口コミで星5または星4を投稿することを条件に、接種の代金を割り引いていた
令和7年3月17日歯列矯正の診療所を経営する医療法人来院者に、星5と感想(または星5)を投稿することを条件に、5,000円分のギフトカードの提供か治療費の総額からの5,000円の割引を伝えていた

どちらも、表示の内容全体から医院の表示であることが明瞭でなく、一般消費者が判別しにくい表示に当たるとされました。歯列矯正の診療所への命令では、違反である旨を一般消費者に周知すること、再発防止策を講じて役員と医療従事者に周知徹底すること、今後同様の表示を行わないことが命じられています。

その他、Googleのポリシーで禁止されていること

  • スタッフや関係者による投稿: 現在または過去の雇用関係などに基づく投稿は、利益相反として禁止されています
  • スタッフへのノルマ: 一定数の口コミを集めるようスタッフに求めることも禁止されています
  • 選択的な依頼: 満足した患者さんにだけ投稿を頼んだり、否定的な投稿を妨げたりすることは禁止されています
  • 1人が複数のアカウントから投稿すること

口コミをお願いすること自体を禁止する記述はありません。お願いするなら、特典を付けず、相手を選ばず、星の数や書く内容を指定しない形にします。

4. 口コミへの返信

返信はプロフィールの閲覧者が誰でも読めます。そのため、投稿者が患者であることや、治療の内容に触れないことが基本です。投稿者名から患者さんを特定できても、「○月○日に来院された際の○○の治療について」と書けば、本人の同意なく患者の情報を公開することになりかねません。個人情報保護法は、本人の同意を得ない個人データの第三者提供を原則として禁じています(第27条第1項)。

返信の型の例です。

口コミの内容返信で書くこと書かないこと
待ち時間が長かった予約枠の見直しなど、医院として取り組むこと「その日は急患が多く」など受診日を特定する説明
説明が分かりにくかった説明の仕方を見直すこと、相談の窓口治療の内容、病名、費用
スタッフの対応への不満院内で共有し改善することスタッフの個人名、投稿者との個別のやりとりの内容
事実と違う内容事実の確認は電話や窓口でお受けすること投稿者の受診歴の有無

ポリシーに違反すると考えられる口コミ(虚偽のもの、無関係な内容、個人情報を含むものなど)は、Googleのヘルプに従って違反を報告できます。医院にとって不利な口コミであるというだけでは、削除の理由になりません。

5. 月に一度の点検の手順

  1. 基本情報: 名称、住所、電話番号、診療時間、休診日、臨時休診の予定が正しいか
  2. 他の媒体との一致: ホームページ、院内掲示、医療情報ネットと食い違っていないか
  3. 個人のプロフィール: 退職した歯科医師のプロフィールが残っていないか
  4. 投稿と写真: 医院の投稿に、禁止される表現や説明の無い術前術後の写真が無いか
  5. 口コミへの返信: 未返信の口コミがあれば、患者の情報に触れない形で返信する
  6. 口コミの集め方: 受付やスタッフが、特典付きの依頼やノルマを伴う依頼をしていないか
  7. ホームページ: 口コミの転載や評価の埋め込みをしていないか

まとめ

  • Googleマップのプロフィールは、医院が書く部分(医療広告の規制がかかる)と、患者さんが書く口コミ(ポリシーと景品表示法がかかる)に分けて考える
  • 名称は看板どおり。宣伝文句や診療内容を名称に足さない
  • 診療時間などは、ホームページや医療情報ネット(医療法第6条の3の報告)とそろえる
  • 口コミは、特典と引き換えに頼まない、相手を選ばない、星の数を指定しない。歯列矯正の診療所への措置命令(令和7年3月17日)が実例
  • 口コミをホームページに転載しない。返信では患者であることや治療内容に触れない

参考資料