歯科医院のホームページに何を載せるかは、思いつきで決める項目ではありません。 患者さんが医院を選ぶために必要な基本情報は、医療法にもとづく制度が報告項目として示しており、自由診療の説明の仕方は医療広告等ガイドラインが決めています。この2つに沿って組み立てれば、載せるべき情報を漏らさず、かつ広告規制にも合った形にできます。
この記事では、厚生労働省の医療機能情報提供制度と医療広告等ガイドラインにもとづいて、歯科医院のホームページに載せる情報を整理します。ガイドラインの禁止表現や限定解除の詳しい要件は歯科の医療広告ガイドラインで扱っているため、ここでは「何を載せるか」に絞ります。
1. 基本情報は「医療情報ネットに報告する内容」と合わせる
診療所(歯科診療所を含む)には、医療法第6条の3にもとづき、医療機能に関する情報を都道府県に報告する義務があります。報告された情報は、医療情報ネットという全国統一のシステムで公表されており、令和6年4月から運用されています。厚生労働省の医療機関向けページでは、原則として毎年1月1日から3月31日の間に定期報告を行い、記載事項に変更があったときは速やかに報告するとされています。
この制度が対象とする項目の分類を見ると、ホームページに載せるべき情報がそのまま見えてきます。以下は、厚生労働省の検討会が平成25年に示した対象項目一覧をもとに、歯科診療所が対象となる分類を整理したものです(項目の細部は制度の運用にあわせて変わることがあるため、最新の報告様式は都道府県の案内で確認してください)。
| 分類 | 主な項目 |
|---|---|
| 基本情報 | 名称、開設者、管理者、所在地、電話・FAX番号、診療科目、診療日、診療時間 |
| アクセス | 利用交通手段、駐車場の有無・台数・有料無料の別、ホームページアドレス、メールアドレス、外来受付時間、予約診療の有無 |
| 院内サービス | 院内処方の有無、対応できる外国語、障害者への対応(手話・点字・音声案内など)、施設のバリアフリー化、受動喫煙防止の措置 |
| 費用負担等 | 保険医療機関かどうか、クレジットカードによる支払いの可否、選定療養として「予約に基づく診察」の特別料金を徴収しているかどうか |
| 診療内容 | 医師・歯科医師・歯科衛生士などの専門性に関する資格の種類と人数、対応できる疾患・治療の内容、専門外来の有無 |
| 実績 | 歯科医師・歯科衛生士などの人員数、外来患者数、患者満足度調査の実施の有無 |
ホームページに載せる基本情報は、この報告内容と一致させます。診療時間や休診日をホームページだけ直して医療情報ネットへの報告を忘れると、患者さんが確認する媒体によって情報が食い違う原因になります。Googleビジネスプロフィールとの整合についても歯科医院のGoogleマップ対策で扱っているとおり、変更時は複数の媒体を同じ手順で直す運用にしておくと漏れません。
2. 自由診療のページは「限定解除の4要件」で整える
インプラント、矯正、ホワイトニングなどの自由診療は、ホームページのように患者さんが自ら求めて見る媒体であれば、医療法施行規則第1条の9の2に定める限定解除の4要件を満たすことで、治療内容や費用の詳しい説明を載せられます。
- 患者が自ら求めて入手する情報を表示する媒体であること
- 問い合わせ先を記載し、容易に照会できるようにすること
- 自由診療の通常必要とされる治療内容・費用等を示すこと
- 自由診療の主なリスク・副作用等を示すこと
費用は治療名と最低金額だけでなく、標準的な費用(または最低金額から最高金額までの範囲)、治療期間、通院回数の目安まで示します。リスク・副作用は、利点と同じページに、同じくらい読める大きさで書きます。4要件の詳しい点検表と、ビフォーアフター写真・体験談の扱いは歯科の医療広告ガイドラインにまとめています。
3. 信頼を伝える要素で気をつけること
歯科医院のホームページは、患者さんが治療を受けるかどうかを判断する材料になります。ただし、次の点は医療広告の規制や、当サイトの編集方針に反するため書きません。
- 患者さんの体験談・口コミの転載:医院が自らのウェブサイトに載せる体験談は、医療法施行規則第1条の9第1号で禁止されています。Googleマップなど口コミサイトの評価をホームページに埋め込むことも同じ扱いです
- 架空の事例・架空の監修者:実施していない事例や、実態のない監修体制を書くことは避けます
- 説明のない術前術後の写真:治療内容・費用・主なリスクの説明を同じ場所に付けない術前術後の写真は、患者さんを誤認させるおそれがあるものとして禁止されています
一方、次の情報は根拠を示しやすく、患者さんの判断に役立ちます。
- 在籍する歯科医師・歯科衛生士の資格(専門医、認定歯科衛生士など、実際に取得しているもの)
- 医院の設備・診療室の写真(他院の写真の流用はしない)
- 施設基準の届出状況(「口腔管理体制強化加算の届出済みです」のように、届出済みである旨を書く。「認定」「認証」とは書かない)
- 対応できる疾患・治療の内容、専門外来の有無
4. 更新の頻度を決めておく
医療情報ネットの定期報告は毎年1月から3月に行われ、記載事項に変更があれば随時報告が必要です。ホームページの更新もこの節目に合わせると、報告のタイミングで基本情報全体を見直す機会になります。歯科医師やスタッフの人数、診療時間のように変わりやすい項目は、変更が決まった時点でホームページと医療情報ネットの両方を直す運用にしておきます。示した時点の人数から大きく減っている情報を放置すると、誇大広告に当たるおそれがある点は歯科の医療広告ガイドラインでも触れています。
5. 点検の手順
- 基本情報を医療情報ネットの報告内容と照合する:名称、所在地、診療科目、診療日・時間、アクセス、予約の有無
- 院内サービスの項目を確認する:外国語対応、障害者への対応、バリアフリー化、受動喫煙防止の措置の記載に漏れがないか
- 費用負担の項目を確認する:保険医療機関である旨、クレジットカードの可否、選定療養の予約料を徴収している場合はその旨
- 自由診療のページに4要件をそろえる:治療内容・費用・期間・回数、リスク・副作用、問い合わせ先
- 体験談・術前術後の写真を点検する:転載した口コミ、説明のない写真が残っていないか
- 更新日を決める:医療情報ネットの定期報告の時期に合わせて見直す
まとめ
- ホームページの基本情報は、医療法第6条の3にもとづく医療機能情報提供制度(医療情報ネット)への報告内容と一致させる
- 自由診療のページは、医療広告等ガイドラインの限定解除4要件(媒体、問い合わせ先、治療内容と費用、リスク・副作用)を満たして載せる
- 体験談の転載、説明のない術前術後の写真、架空の事例や監修者は書かない
- 更新は医療情報ネットの定期報告(毎年1月〜3月)の時期に合わせて見直す
参考資料
- 厚生労働省「医療機能情報提供制度について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html
- 厚生労働省「医療機能情報提供制度について(医療機関向けページ)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35867.html
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正 https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf
- 厚生労働省「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/001683595.pdf