令和8年度改定で、歯周病安定期治療(いわゆるSPT)と歯周病重症化予防治療は歯周病継続支援治療(I011-2)に統合されました。運用で押さえることは、対象となる歯周組織の状態、2回目以降の算定間隔と例外、開始時の管理計画書の3つです。院内の呼び方や記録の様式が旧名称のままだと、要件の読み違いにつながるため、この機会にそろえておきます。

以下は、令和8年度の歯科点数表、算定上の留意事項の通知、疑義解釈資料にもとづく整理です。


1. 点数と区分

歯周病継続支援治療は、歯数に応じた3区分です。

区分点数
1歯以上10歯未満170点
10歯以上20歯未満200点
20歯以上350点

加算として、口腔管理体制強化加算の施設基準を届け出た診療所で開始した場合の加算(120点)と、医科の医療機関からの情報にもとづいて治療し、その医療機関に診療情報を提供した場合の重症化予防連携強化加算(100点)があります。疑義解釈資料(その3)では、乳歯が含まれる歯列でも永久歯の歯数に応じて算定することが示されています。


2. 対象となる患者

対象は、歯科疾患管理料または歯科疾患在宅療養管理料を算定している患者で、2回目以降の歯周病検査の結果、次のいずれかに当てはまる状態の患者です。

  • イ:歯周組織の多くの部分は健康だが、一部分に、病変の進行が停止し症状が安定していると考えられる4ミリメートル以上の歯周ポケットがある状態
  • ロ:全ての歯周ポケットが4ミリメートル未満だが、部分的な歯肉の炎症またはプロービング時の出血がある状態

周術期等口腔機能管理料や歯科特定疾患療養管理料などを算定している患者も、治療計画に歯周病の管理計画が含まれ、同じ状態にあれば算定できます。疑義解釈資料(その3)では、ここでいう歯周病検査はD002に掲げる歯周病検査のいずれかでよいとされています。

改定前の共同指導の指摘事項には、旧歯周病重症化予防治療について「ポケットが4ミリメートル未満で部分的な炎症や出血がある状態」に該当しない患者に算定していた例が挙がっています。検査の結果と対象の状態の対応を、診療録で読み取れるようにしておきます。


3. 算定の間隔と例外

歯周病継続支援治療は1口腔につき月1回に限り算定し、2回目以降は前回実施した月の翌月の初日から起算して2月を経過した日以降に算定します。

留意事項の通知は、治療間隔の短縮が必要な次の場合に、3月以内の間隔で実施したものも月1回に限り算定できるとしています。

場合診療録への記載主治の医師の文書
歯周外科手術を実施した場合全身状態等不要
全身的な疾患の状態により歯周病の病状に大きく影響を与える場合理由と全身状態等添付
糖尿病の状態により重症化するおそれがある場合理由と全身状態等添付
全身的な疾患の状態により歯周外科手術ができない場合理由と全身状態等添付
侵襲性歯周炎の場合理由と全身状態等不要
歯科疾患管理料の特別管理加算を算定した場合理由と全身状態等不要
地域歯科診療支援病院で、通知に列挙された遺伝疾患の状態により重症化するおそれがある場合理由と全身状態等添付

また、点数表では、口腔管理体制強化加算の施設基準を届け出た診療所で開始した場合も、間隔の規定の例外とされています。改定前の共同指導の指摘事項には、糖尿病を理由に間隔を短縮しながら主治の医師の文書を添付していなかった例が挙がっています。

改定の前後をまたぐ患者について、疑義解釈資料(その5)は、口腔管理体制強化加算の届出がない医療機関では、改定前の治療の前回実施月の翌月の初日から2月を経過した日以降に算定するとしています。


4. 開始時と2回目以降の手順

  1. 歯周病検査を行う:開始に当たって歯周病検査を行い、対象の状態に当てはまるかを確かめる
  2. 管理計画書を渡す:検査結果の要点と治療方針を記した管理計画書を作成し、文書で患者または家族に提供して、写しを診療録に添付する
  3. 治療を行う:プラークコントロール、スケーリング、スケーリング・ルートプレーニング、咬合調整、機械的歯面清掃などを主体に行う
  4. 間隔を決める:原則の間隔か、短縮できる場合かを判断し、短縮する場合は理由と全身状態等を記載する
  5. 2回目以降に安定を確かめる:必要に応じて歯周病検査を行い、症状が安定していることを確認してから、状態に応じた適切な間隔で行う

来院の間隔と次回予約の運用はリコール率を上げる仕組み、担当の歯科衛生士の決め方と記録はメインテナンスの担当制で扱っています。


5. 別に算定できないものと歯周外科手術の扱い

歯周病継続支援治療を開始した日以降に行った次の処置は、別に算定できません。

  • 咬合調整(二次性咬合性外傷の場合)
  • 歯周病処置、歯周基本治療
  • 在宅等療養患者専門的口腔衛生処置
  • 機械的歯面清掃処置、口腔バイオフィルム除去処置

一方、病状の変化により歯周ポケットへの特定薬剤の使用、暫間固定、口腔内装置、暫間歯冠補綴装置を行った場合は、それぞれ算定します。

開始後に病状の変化で歯周外科手術を行った場合は、手術の日以降、歯周精密検査で再び病状が安定し継続的な管理が必要と判断されるまで、歯周病継続支援治療は算定できません。また、開始後に行う歯周外科手術は、原則として所定点数の100分の50で算定します。


6. 見落としやすい点

  • 旧名称の記録様式:歯周病安定期治療・重症化予防治療の様式のままだと、統合後の要件に合わない記載になりがちです。
  • 管理計画書の写し:文書を渡しても、写しが診療録に添付されていなければ要件を満たしません。
  • 機械的歯面清掃処置との同月算定:同じ月に別に算定できない処置が含まれていないかを確かめます。
  • 糖尿病の患者:留意事項の通知は、糖尿病を踏まえた歯周病の管理に関する講習会や研修会へ定期的に参加するよう求めています。

7. まとめ

歯周病継続支援治療は、旧SPTと旧重症化予防治療をまとめた区分で、2回目以降の歯周病検査で安定または部分的な炎症の状態にある患者が対象です。月1回・原則2月を経過した日以降という間隔と、短縮できる場合の記載と文書の添付、開始時の管理計画書の写しが運用の要です。口腔管理体制強化加算との関係は口腔管理体制強化加算の要件と届出で整理しています。


参考資料